すこしだけ深堀りしてみるブログ

日々の生活で気になったことを自分が納得できる程度に調べてみるブログです

電柱が多い

青梅街道を新宿に向かって走っていくと、山手通りにぶつかる手前辺りから突然電柱と電線がなくなります

無電柱化された街のイラスト
いつも電柱や電線を当たり前のように見ているだけに、ちょっとした違和感を覚えるのと同時に爽快な気分!

「ここを通ると空が広く感じて、気分が晴れやかになるよ」

「ホント、道も広く感じるわよね」

「なんでここだけ電柱や電線がないんだろう?」

「災害時緊急道路だからじゃない?」

「そしたらウチの方もそうじゃないの?」

「そこまでは、わかんな~い(^^;」

 

「にしても、電柱って邪魔じゃない? 狭い道なんか結構危ないからね」

車を擦った人のイラスト

「そうね~、自転車や歩行者がいる時なんか怖いもんね」

「運転してる時もそうだけど、歩いてる時も怖いよ、ギリギリの時あるし‥」

「あと、ウチのベランダのところなんてカラスが巣を作ってるわよ」

「あ~、いつもハンガー盗んでくヤツか!」

「もう迷惑なのよね! あのカラス!」

「電線からフンとか落ちてるところも結構あるしね」

「こんなに電柱が多いの日本だけなの? 海外とかはどうなの?」

「そこまでは、わかんな~い(^^;」

ってことで、調べてみました

 

まず世界と日本の状況はどうなのか‥

国土交通省の資料では、ロンドンやパリ、香港の無電柱化率は100%で、台北が95%、シンガポールは93%

ヨーロッパの大都市は初めから地中に電線を設置したそうで、ニューヨークは電線による感電が多発したことから無電柱化が進み、今では80%無電柱化されているとか

最初は電柱が多かったソウルも、いまでは46%が無電柱化されているらしい

それに比べて、東京都の無電柱化率は8%、大阪市は6%

それでも都道府県別で調べてみると、東京都が最も無電柱化率が高いんだとか

その東京都も、国道や都道などの大きな道路は27%が無電柱化されているけど、約9割を占めている市区町村道の無電柱化率はたったの2%だけ

「だから電柱がないと違和感覚えるわけだ」

 

日本も戦前は電線地中化の流れがあり、一部の街ではすでに行われていたらしい

しかし戦時中の空襲で街は焼け野原になり、そこから速やかに復興するために一時的に電柱が立てられたそうです

電線を地中に埋めるには時間と費用がかかるため、「まずは電柱で電気を送り、余裕が出てきたら地中化しよう」ということだったのですが・・

ところが、その後の高度経済成長期で電気や電話の需要がどんどん高まり、とにかく電柱を立ててこれに対応しなければならなかった

本来は一時的であったはずの電柱が、ついに当たり前のものになってしまったんですね

こうして、いま全国には約3500万本の電柱があり、現在もまだ年に7万本ずつ増加しているわけです

 

しかし、この電柱が最近になって問題視されるようになった

暴風雨のイラスト

そのきっかけになったのが、おととし9月千葉県を直撃した台風15号で、首都圏を中心に最大で93万戸が停電、その要因は約2000本もの電柱が倒壊したことによるものでした

専門家たちは根本的な対策として、電線を地中に通す「無電柱化」の必要性を訴え、政府もこれを加速させる意向を示したわけです

「結局、昔のツケが今になって回って来たってことだ!」

 

ところで、無電柱化のメリットって何があるのか?

1、大規模災害時に電柱等が倒壊することによる道路の寸断を防止する

2、災害時におけるライフラインの信頼性・安全性が向上する

3、歩道が広くなり、高齢者や車椅子・ベビーカーなどの安全通行が可能になる

4、交差点での見通しが良くなり、交通標識等も見やすくなる

5、すっきりした景観でまちが美しく生まれ変わり、まちの活性化に寄与する

国土交通省 関東地方整備局HPより抜粋】

 

「いいこと尽くめじゃない! つべこべ言わずに早くやろう!」と言っても現実にできてないのには訳がある

 

まずはお金がかかる

山積みの札束のイラスト(お金)

地中に管を埋め、その中に送電ケーブルを入れる一般的な方式だと、1キロ当たり約5.3億円もかかるらしい

海外のように地中に直接ケーブルを埋める方式でも1キロ約2.6億円なんだそうで、これらは電柱を立てる費用と比べて約5倍から10倍

費用はだいたい国が1/3、自治体が1/3、事業者1/3の割合で負担するので、そりゃ自治体や関係事業者は二の足踏みますわな

 

あと、工事をするには関係者全員の同意が必要になる

真剣な会議のイラスト(男性)

電柱1本でも電力会社、電話会社、ケーブルテレビなどの多くの事業者が所有しているし、立てられている道路は国道や都道府県道、市区町村道など、それぞれ管理者が異なる

さらに周辺の商店や住民など、多くの人々や団体の足並が揃わないと工事が進められないので、これを調整するのがなかなか難しいわけです

 

国はこれに対して何もしていないかと言うとそうではないらしく、2015年に道路法第37条が制定され、緊急輸送道路では新たな電柱が立てられなくなったそうです

緊急輸送道路は全道路の7.5%しかないけど、まずは増え続ける電柱を減らすための第一歩ですね

また2016年には無電柱化推進法が成立し、都道府県・市町村の無電柱化推進計画の策定と公表を努力義務として定められた

努力義務なので罰則はないけど、自治体が計画を公表することは、住みやすい街、安全な街作りをアピールすることになります

そして2021年5月、国土交通省は2025年度までの5年間で全国でおよそ4000キロの区間の電柱をなくす新たな計画をまとめました

重点的に進める区間は、災害時に物資輸送に使う緊急輸送道路や避難所にアクセスする道路、世界文化遺産周辺地区や著名な観光地の道路などとしていますが、できるところからどんどんやろうということですね

 

こんなこと書いてたら先日ポストにチラシが入っていて、うちの前の道も無電柱化するらしい

「今度うちの前の電柱がなくなるみたいよ!」

「へ~ッ、そりゃ良かった」

「やっと見晴らしがよくなるわ!」

「カラスも来なくなるね」

「でも完成まで半年もかかるみたいよ」

「電線の地中化って結構大変な工事らしいよ」

「へ~、そうなんだ」

「でも災害があった時も安全だし、景観も良くなるしね」なんて、ちょうど調べてたことをベラベラ・・

皆さんも自分の街のホームページを一度確認してみては如何?

ってことで、今日の深掘りはここまで