すこしだけ深堀りしてみるブログ

日々の生活で気になったことを自分が納得できる程度に調べてみるブログです

投票率

2021年の衆院選が終わった

コロナ禍でいつもより政治に関心が集まっていただけに、高い投票率かと思ったが蓋を開けてみるとそうでもなかった

 投票所のイラスト(選挙) 

自民党に投じても大きく政治運営が変わるとは思えないし、かといってただ足を引っ張るばかりの野党連合には入れたくないので、私自身も投票に行くのをやめようかと思ったぐらいだから仕方がないか・・

野党にとってこのコロナ禍は、党の存在を示す大きなチャンスだったはずだ

 チャンスを掴む人のイラスト(男性)

先が見えない(対策も立てづらい)ことは国民誰もが理解していたわけで、こんな非常事態だからこそ与野党という垣根を越えた協力体制を期待していたが、マスコミと一緒になって政府批判をするばかりの野党にはいい加減嫌気がさしていた

選挙演説で、「自民が悪い、政府が悪い、安倍が、菅が・・」と声を張り上げたところで、結局政策は与党と似たり寄ったりか、選挙用としか思えない非現実的なものばかり

 選挙カー(街宣車)と立候補者のイラスト

せめて与党連合や野党連合ではないところに票を入れて、いまの非協力体制にはうんざりしていることを気付かせようと投票所に行ったが、結果をみると同じような人が多かったように思う

 

ところで今回の投票率55.93%は、衆院選としては戦後3番目に低い投票率だそうだ

 いろいろな「ワーストランキング」のイラスト文字

3番ということは1番と2番があるわけで、調べてみると1番低かったのは前々回(2014年)の52.66%、2番目に低かったのは前回(2017年)の53.68%だ

だからこれでも前々回、前回よりはまだマシと言うことだ

前回の選挙から18歳以上が投票できるようになったことや、期日前投票が漸く定着してきたからだろうが、それでも抜本的な対策にはなっていない気がする

 

ちなみに過去の投票率はどうだったのかを調べてみると、1967年の衆院選投票率は73.99%もあったそうだ

それ以降も概ね70%前後で推移していたのだが、1996年になって突然59.65%と初めて60%を割り込んでいる

 減点方式のイラスト(男性)

この時何があったかというと、これまでの中選挙区制から初めて小選挙区比例代表並立制が導入されたのだ

その後は2000年が62.49%、2003年が59.86%と、60%前後の投票率が続く

しかし2005年は67.51%、次の2009年選挙では69.28%と投票率が回復している

 

2005年は、あの「小泉劇場」と呼ばれた(揶揄された)郵政民営化選挙だ

 Junichiro Koizumi 20010426.jpg

小泉純一郎 - Wikipediaより

他の政策はそっちのけで郵政民営化だけが全面に立った選挙だったが、党内でも異端児だった小泉さんが政治を変えてくれるんじゃないかという期待は大きかった

 

2009年は、今は亡き民主党自民党から政権奪取を果たした選挙だ

 Yukio Hatoyama 20090916.jpg

鳩山由紀夫 - Wikipediaより

マニフェストという言葉が飛び交い、自民の一党独裁政治から民主vs自民という二大政党政治への幕開けに期待を寄せた選挙だった

しかしその民主党は自ら瓦解し、再び自民党が政権を取り戻した2012年の選挙では投票率が59.32%と急降下、そして戦後最低の投票率だった2014年へと繋がっていく

二大政党政治への期待が大きかっただけに、それがもろくも崩れ去ったことへの失望があったのかもしれない

 

アンケートで投票に行かない理由を聞くと、「政治に興味がない」「どこに投票しても変わらない」「投票したい候補者や政党がない」というのが上位にくるそうだ

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私も確かにその通りだと思うが、こうなった原因は政治というより選挙制度の変更にあると思うのだが如何だろうか

 

ご存じのとおり中選挙区制は選挙区の範囲が広く定員数も多い

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選挙区の定員は3~5名で、得票数が多い候補者から順に3~5名が当選するしくみだ

仮にトップ当選の候補者が過半数の票を獲得したとしても、残りの候補者が3~5番以内に入れば当選できるから、投票した候補者が当選する可能性は高くなり、死票が少ないと言われている

ただ選挙区が広い分お金もかかるし、一定の組織票があれば当選できたわけで、これがいろんな不正を引き起こす元凶とも言われていた

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しかし小選挙区制となると話が違う

定員は1名だけだから、自分が投票した候補者が1番にならない限りは投票した意味がなくなってしまう

仮に僅差で当落が決まったとすれば、当選者とほぼ同数の票が死票になるわけだ

 落選のイラスト(男性)

また定員1名となれば各党は無益な票割れを防ぐために候補者を絞ることになる

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有権者にとっては選択肢が少なくなるし、そもそも投票したいと思う候補者がいないことだってあり得るわけだ

いくら大勢が変わらないと思ってはいても、せめて自分が支持した候補が当選できるのなら投票所にも行くだろうが、そうでなければ行っても仕方ないと言うのが本音ではないだろうか

   選挙演説のイラスト(男性)

立候補する側も大変だ

小選挙区で勝つにはそれなりの票を集める必要があるから、弱小政党(野党)は大同連合を組むしかない

そもそもイデオロギーや政策が違う政党が候補者を絞るわけだから、政策よりも「与党はダメ!」という共通旗を掲げて戦うしかない

だから「自民が悪い、政府が悪い、安倍が、菅が・・」と連呼するしかないわけだ

仮に野党連合が過半数を取ったとしても政策運営がまとまるはずはなく、早々に立ち行かなくなるのは目に見えている

このジレンマから脱却できない限り、小選挙区制で野党連合が勝てる見込みはないだろう

 国会答弁・国会審議のイラスト(女性)

「じゃあ比例で支持する政党を選べばいいじゃないか!」という声が聞こえてきそうだ

確かに小選挙区には投票したい候補者がいなくても、比例で政党を選択することはできる

しかし地元の様々な声を伝えるはずの代表選挙を無視して、政党だけを選ぶというのは本末転倒な話だ

 選挙ポスターを見る人達のイラスト

そもそも選挙とは、自分の思いを政治に反映してくれる(くれるだろう)人、自分たちの暮らしをより良く変えてくれる(くれるだろう)人を選ぶのであって、政党はそれを実現しやすくするために集まった政策集団に過ぎない

それを政党で選択するということは、ますます政治に対して有権者の声が届かなくなるということではないのか

 国会議事堂のイラスト

小さな選挙区にして地元の有権者とコミュニケーションを増やし、住民の声を政治に反映しやすくするはずだった小選挙区制度

お金がかからない、クリーンな選挙を実現するための小選挙区比例代表並立制だったのだろうが、どうもいまは民意が反映されない、投票意欲がなくなる選挙制度になっているような気がする

今日の深掘りはここまで