すこしだけ深堀りしてみるブログ

日々の生活で気になったことを自分が納得できる程度に調べてみるブログです

ビールとビール系飲料の違い

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ビールと言うと夏に飲む酒っていうイメージがあるが、冬に飲むビールの方が旨い気がする

夏は暑い=汗をかく=喉が渇く=ビールが旨い!なんだろうが、実際にはそれほど喉は渇いていないことが多い

冬は空気が乾燥しているからなのか、夏ほど小まめに水分を取っていないからなのか、いざビールを飲みだすとあまりの旨さにゴクゴクと喉を鳴らして飲んでしまう

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「プハーッ!旨い!」

「ビールってこんなに旨かったっけ?」と改めて琥珀色の液体に感動する

泡を含んだ冷たい液体が乾いた喉を一気に通っていく爽快感、鼻の奥から抜けてくるホップの香り、そして舌に残るほんのりとした苦味

あぁ・・これだからビールは止められない!

と、ここまで書いたが、実は私が飲んでいるのはビールではない!

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サッポロ「麦とホップ」、いわゆる新ジャンル(第3のビール)というやつだ

しかしいまの新ジャンル(第3のビール)は旨い!

出たばかりの頃はあまり旨いとは思わなかったのだが、数年前にCMを見て試しに飲んでみたらこれが旨かった

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「これならビールじゃなくてもいいんじゃない?」と妻

「と言うか、オレはこっちの方が好きかも・・」と私

「これで安いんだから言うこと無しね!」

ふたりでニンマリした翌日からはもう「麦とホップ」一筋だったのだが、最近になってこれにキリンの「本麒麟」が加わった

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この「本麒麟」も「麦とホップ」と同様にCMを見て飲んでみたのだが、これはこれでなかなか旨い新ジャンルだ!

こちらはどっちかと言うとスッキリ系で、いまは妻が好んで飲んでいる

ところでビールと発泡酒、新ジャンルはどう分類されているのか、またそれぞれの酒税率はどれぐらい違うのだろう

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ビールとは麦芽・ホップ・水に酵母を加えて発酵させた酒だが、麦芽のほかに麦芽の重量を越えない範囲で麦や米、トウモロコシなどの副原料を使ってもビールに分類される(ただし麦以外の副原料が麦芽の5%未満であること)

麦芽を50%以上使っているのがビールだ」と言われるのはこういう理由からだ

実は2018年までは麦芽の割合が66.7%以上でないとビールと分類されなかったが、いまはこの基準が引き下げられている

ただし麦芽を50%以上使っていても、国が指定していない副原料を使った場合はビールではなく発泡酒となってしまう

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「う~ん、ビールの定義は結構ややこしい・・」

逆に麦芽の重量よりも副原料の方が多いモノ(麦芽が50%未満)が発泡酒となる

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酒税上は25~50%のモノと25%未満のモノに分かれているが、どちらも発泡酒に変わりはない

また発泡酒は国が指定していない副原料を使ってもまったく問題ない

そういう意味では発泡酒の方がいろんな原料を使えるのでビールより味付けの自由度が高いと言えるだろう

新ジャンル(第3のビール)には、二つの種類がある

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ひとつは麦芽を全く使わない発泡性酒類で、糖類、ホップ、水と指定された原料で発酵させたモノだ

具体的には麦芽の代わりに大豆やエンドウ豆を使ったビールテイスト飲料がそれに当たる

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もうひとつは発泡酒にスピリッツを加えたモノで、「麦とホップ」や「本麒麟」はこれに当たる

スピリッツとは発酵液を蒸留したアルコール濃度が高い液体のことだが、日本の酒税上はウイスキーやブランデー、焼酎を除くエキス分2%未満の液体をスピリッツと分類している

麦とホップ」を例にとってみると、原材料は発泡酒麦芽、ホップ、大麦)、スピリッツ(大麦)となっているから、麦芽と大麦、ホップから作った発泡酒に大麦から作った蒸留液をプラスして作った発泡性リキュールということになる

ちなみに「本麒麟」の原材料は、発泡酒麦芽、ホップ、大麦、コーン、糖類)、大麦スピリッツとなっているから、麦以外にコーンと糖類も含まれているわけだ

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ビール本来の苦味や旨味にこだわる人は不満かもしれないが、苦味が苦手な人やスッキリした飲み味を好むなら、発泡酒や新ジャンルも有りだと思う

そして発泡酒や新ジャンルのもうひとつの魅力は価格だろう

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お酒にはどれくらいの税金がかかっているのですか? : 財務省 (mof.go.jp)より

これは2021年12月現在のお酒に課せられている酒税②と消費税③の一覧表だが、ご覧のようにビールと発泡酒、新ジャンルでは酒税が大きく違っている

一般的に発泡酒や新ジャンルがビールより安いのは、製造価格以外にこの酒税の違いが大きく影響している

350㎖1缶当たりでは、ビールが70.00円、発泡酒が46.99円、新ジャンルが37.80円だから、新ジャンルはビールよりも酒税で32.2円、消費税を含むと37.56円も安く買える計算だ

この酒税は、つい最近まではもっと差があった

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これは令和2年10月以前とそれ以降のビール系飲料の酒税率をグラフにしたものだ

令和2年までは350㎖1缶当たりビールは77円、発泡酒は46.99円、新ジャンルは28円だったから、その差は消費税を入れると50円以上あったわけだ

それが令和2年、令和5年、令和8年の3段階で改定されて、最終的にはすべてのビール系飲料の酒税は54.25円となる予定だ

ビール党には減税になるから朗報だが、発泡酒や新ジャンルを嗜んでいる人にとっては悲報と言わざるをえない

ただ先ほどの酒税一覧表から換算すると、ビールの本体価格は約129円、新ジャンルの本体価格は約108円だから、まだ20円ほど安くは買えると思うが・・

財務省によると今回の酒税改定の理由は、「類似する酒類間の税率格差が商品開発や販売数量に影響を与えている状況を改め、酒類間の税負担の公平性を回復する等の観点から、税収中立の下、酒税改正を実施する」なんだそうだ

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「税負担の公平性?」

「要は売れてる商品にたくさん税金を掛けるってことじゃないの?」

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酒税に関する資料 : 財務省 (mof.go.jp)より

これは令和1年度の酒税に関する資料で、課税されているお酒の種類ごとの数量(左)と課税額(右)になる

ここでビールとリキュールと発泡酒の販売数量が変わらないとした場合、酒税の変更によってこの3種類の税収がどうなるかをザックリ試算してみた

課税率変更で国の課税収入はどうなる?(令和元年資料を元にザックリと試算)
                            課税額単位:億円

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すると令和1年の合計酒税約8,000億円から、令和3年には約8,200億円、令和5年以降は約8,400億円と、最終的には約400億円も税収が増える

「あ~ぁ、やっぱりねぇ~」

税率の安い発泡酒に人気が出た時も、ビールで減った税収を何とかするために発泡酒の税率を上げたように、新ジャンルにもその魔の手が伸びてきたってことだ

そして今回の酒税変更はビール系飲料だけではない!

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売上が減っている日本酒を減税する代わりに、いま人気のワインや若者が好んで飲んでいるチューハイなどを増税すると言った具合だ

「皆さんの趣向が多種多様になったことで、従来の酒税率では一定の税収が確保できないので変更することにしました」と正直に言えばいいのに・・

今日の深掘りはここまで