すこしだけ深堀りしてみるブログ

日々の生活で気になったことを自分が納得できる程度に調べてみるブログです

国家(君が代)の起源とは?

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正月明け

本社で恒例の年頭式が開催された

誠に日本企業らしい年始行事だ

未だにコロナが収束していないこともあり、今年も密を避けるため役員と幹部社員のみがリアル参加となり、一般社員はオンライン配信を視聴している

社長からの年頭挨拶、年男年女の三本締めが式のメインなのだが、式の冒頭には国歌と社歌の斉唱がある

司会進行から「国歌・社歌はテープが流れますので、心の中で斉唱をお願いします」と案内があるのも去年と同じだ

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しんと静まり返った会議室に「君が代」が流れる

君が代

千代に八千代に

さざれ石の

いわおとなりて

こけのむすまで

昨年オリパラが自国開催されたからだろうか、表彰台に立ってこの国歌を聴いたアスリート達を思ったら胸が熱くなってきた

静かで厳かな始まりから、腹に響くような太鼓の音と共に盛り上がる中盤、ゆっくり大きな波が打ち寄せるような曲調と歌に、改めて感動してしまった

こんな短い歌詞と曲なのに、日本らしさが凝縮されている気がする

君が代の歌詞は10世紀に編纂された古今和歌集にある「我君は千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで」という読人知らずの短歌を元にしているそうだ

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以下は君が代 - Wikipediaより抜粋・引用

「小石が成長して大きな岩となり、苔がはえるまで長生きしてください」という長寿を祝う歌で、「我君」は「あなた」「主人」「君主」など広く祝う相手を指す言葉であった

なるほど短歌だから、こんなに短い歌詞でも悠久の時を感じるのだろう

この歌は紀貫之新撰和歌藤原公任和漢朗詠集などにも収められ、祝賀の歌として朗詠にも供され、酒宴の際に歌われる歌でもあったらしい

長い歴史の中で様々な歌に使われて庶民にも浸透していったが、「我君」が使われたのは初期だけで、その後は「君が代」となって現在に至っているそうだ

祝賀歌として謡われた「君が代」が、国家の式礼曲となったのは明治時代だ

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明治の初めイギリスのエジンバラ公ルフレッドが訪日することになった際、イギリス軍楽隊長ジョン・ウィリアム・フェントンが、「日本に国歌がないのは遺憾であり、国歌あるいは儀礼音楽を設けるべき」として自ら作曲を申し出た

当時薩摩藩の砲兵大隊長であった大山巌が、薩摩琵琶歌「蓬萊山」のなかにある「君が代」を歌詞に選び、フェントンによって作曲されたのが初代礼式曲の「君が代」と言われている

しかし、フェントン作曲の「君が代」は威厳を欠いていたために不満の声が多く、当時の人々が西洋的な旋律になじめなかったこともあって普及しなかったそうだ

その後宮内省雅楽課が旋律を改めて付け直し、それをドイツ人の音楽教師フランツ・エッケルト吹奏楽用に編曲したものが儀式に使用されるようになり国歌として定着した

明治後期になると「君が代」は天皇や皇族の繁栄を祝う歌として学校儀式に国歌として歌われるようになり、日清戦争日露戦争による国威発揚にともなって国民に普及していく

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君が代」は正式な国歌ではなかったものの、国際的な賓客の送迎やスポーツ関係などで国歌に準じて演奏・歌唱されることが多くなり、とくに昭和に入るとこの傾向は一層顕著となる

第二次世界大戦後は、連合国軍総司令部GHQ)が日の丸の掲揚とともに「君が代」の斉唱も禁止した

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また「君が代」の歌詞について、天皇を中心とした体制を賛えたものとも解釈できることから、一部の国民から国歌にはふさわしくないとする主張がなされた

君が代」に代わるものとして、毎日新聞社が募集・制作した「新日本の歌」や朝日新聞社と民主政治教育連盟が募集・制作した「こゝろの青空」、日本教職員組合日教組)が公募・選定した「緑の山河」などがつくられたが、サンフランシスコ平和条約以降は、礼式の際などに再び「君が代」が演奏されることが多くなったそうだ

その後も「君が代」は事実上の国歌として長らく演奏されてきたが、法的に根拠がないことから法制化が進み、1999年に「国旗及び国歌に関する法律」が成立し正式に国歌となっている

他国から指摘されて作られ、つい最近まで正式な国歌として認められていなかった「君が代」だが、大昔から誰もが知る繁栄と長寿を願う祝歌だったわけだ

君が代」の歌詞は世界で一番古く、また世界で一番短い国歌だそうだ

国歌なのだから勇ましい歌詞やテンポの速い曲が良いのでは・・などと昔は思ったこともあったが、歳を重ねるに連れて、これが日本にあっていると思うようになった

むかし父が「普通は大きな岩がだんだん小石になっていくんだがな」と言ったのを思い出した

確かに大きな岩が雨風に侵食されて小さな石や土に変わっていくのだが、その小石や土が堆積してまた大きな岩になるのにどれぐらいの年月がかかるのだろう

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そして地表に現れた大きな岩の周りに木々が育ち、林が森になって苔が生えるようになるにはどれぐらいの年月がかかるのだろう

そんなことを考えていたら、「君が代」が地球の歌のように思えてきた

地球という「君が代」が千代に八千代に続きますように・・

今日の深掘りはここまで