すこしだけ深堀りしてみるブログ

日々の生活で気になったことを自分が納得できる程度に調べてみるブログです

年金制度改正2022(2)

前回は平均余命を参考に一番お得な年金のもらい方を調べてみた

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男性なら85歳まで生きる可能性が高いので70歳から年金を受け取るのがお得、女性なら90歳まで生きる可能性が高いので72歳から受け取るのがお得という結果だった

しかし実際のところ70歳過ぎまで年金なしで暮らせるものなのだろうか?

ということで、ある会社員を例にして85歳までのシミュレーションをしてみたいと思う

(給与・年金は税金・保険等が引かれる前のいわゆる額面表記とする)

ダンナは中堅企業の課長で奥さんは同じ歳、子供はすでに自立している

ダンナのいまの月給は45万円、ボーナス(2か月分)が年2回あるので年収は720万円、奥さんはパート勤務で月額10万円の収入があるとしよう

上の表のとおり、59歳時点の家族年収は840万円、月額にすると70万円になる

ただボーナスは各種ローンや不意の出費・貯蓄に回しているから、月々の生活は55万円で回していると仮定する(ちなみに貯蓄は1,000万円ある)

ダンナが満60歳の誕生日で定年になると1,500万円の退職金をもらい、本人が希望すれば65歳まで委託社員として継続勤務することができる

ただし再雇用後の月給は現役時の6割弱、ボーナスは1か月分が2回になってしまう

ダンナは再雇用を選択したので、60歳から64歳までの年収は350万円になり、奥さんのパート代と合わせると家族収入は470万円で月額39万円となる

これをすべて生活費に回したとしても、現役の時より月額で16万円のマイナスだ

現役時代と同じ生活を続けるのであれば、足りない16万円を退職金から取り崩すことになるので5年で960万円が無くなってしまう(1,500万円―960万円=残額540万円)

65歳になると再雇用期間が終了するので、ダンナは何とか再就職先を見つけて働き始めるとしよう(給与は月15万円)

奥さんも引き続きパート勤務をしているが、ここで夫婦ともに年金支給を受け取ることにする(夫婦二人の年金支給額は合計で25万円と仮定)

すると再雇用の時より年収が増え、家族収入は600万円で月額50万円となる

65歳以降も現役生活から足りない分(5万円/月)を退職金から補填したとすると、5年間で300万円が必要になり、残りの退職金は240万円になってしまう計算だ

70歳以降は夫婦とも仕事をしないとすると、収入は毎月25万円の年金だけ

同じ生活を続けるとしたら足りない30万円を退職金の残り240万円と貯蓄の1,000万円から補填することになり、手元資金は3年ちょっとで消えて無くなってしまう

そこから85歳まで年金の25万円だけで暮らしていくのは流石に無理がある

 

そこで・・60歳になった時点で生活を見直し、現役時代の8割(月額45万円)に支出を抑えたとしたらどうなるだろう

60歳から64歳までの収入は月額39万円だから、45万円までの持ち出しは6万円だ

月額6万円×12か月×5年間=360万円を退職金から取り崩したとしても、65歳の時には1,140万円が残る計算だ

65歳からは再就職で給与は減るが、奥さんと一緒に年金をもらうとすれば月額50万円の収入になるから、生活費に対して毎月5万円の余裕ができる

5万円をそのまま貯蓄に回せば、退職金は逆に300万円増えて1,440万円になる

70歳以降は25万円の年金と残った退職金1,440万円と貯蓄の1,000万で暮らしていくことになる

70歳以降も月45万円の生活をしたとして手元資金2,440万円から毎月20万円を取り崩していくと、10年間(79歳まで)は同じ生活レベルを維持できるということになる

では同じ条件で年金支給だけを70歳に繰り下げたとしたらどうなるのだろうか?

64歳まではまったく同じだから、退職金は1,140万円残っている

しかし65歳から年金を受け取らないわけだから、69歳までは給与収入の25万円だけになる

足りない20万円を蓄えから補填するとしたら、20万円×12か月×5年=1,200万円が必要になる

退職金の1,140万円では足りないので貯蓄の1,000万円からも取り崩すと、69歳時の手元資金は総額で940万円になってしまう

さて70歳になったときにもらえる年金はというと35.5万円(65歳支給の42%アップ)だ

45万円の生活を続けるためには毎月9.5万円の補填が必要だから、残った手元資金940万円からこれを取り崩していくと約8年間(77歳まで)続けられることがわかった

45万円(現役時代の8割)の生活をいつまで続けられるかという比較で言うと、65歳から年金をもらった方が2年長く続けられるという結果になったが、実際そこで命が尽きるわけではない

男性の85歳をひと区切りとすると、65歳支給の場合は80歳からの5年間を月額25万円の年金だけで暮らすことになる

高齢者夫婦のひと月当たりの支出は最低26~27万円かかると言われているから、蓄えが尽きた状況ではかなり厳しいと言えるだろう

あと最低でも500~600万円ぐらいの手元資金が欲しいところだ

70歳支給を選んだ場合は78歳からの7年間を月額35.5万円の年金だけで暮らすわけだが、この額ならば何とか夫婦二人で暮らしていける金額だ

65歳支給を選択した時より2年早く生活レベルを落とさねばならないが、その分先々が安心と言える

ちなみにそれぞれ手元資金が尽きたあとの年金収入の累計金額は下の表のとおりだ

年金だけの生活になってこの差は結構大きい気がするのは私だけだろうか・・

ちょうど80歳前後と言えば身体が言うことを聞かなくなる年齢でもある
医療や介護のことを考えると、この差は決して小さいとは言えない

シミュレーションした結果を見ると、まず65歳以降は出来るだけ働いて手元資金の取り崩しを減らし、何とか70歳から年金支給を受けるのが良策と言えそうだ

ましてや85歳以上生きる自信がある人は、絶対に70歳支給を選択すべきだろう

いまや企業も定年を65歳に繰り下げようとしているし、元気で能力があるなら70歳まで働いてもらおうと言う雰囲気になっている

「同じ仕事をしているのに何で給料が減るんだ!」と文句を言いたくなる気持ちも分からなくはないが、そこはグッと堪えて「身体が続く限り頑張ってくださいね」と言われるようにするのが得策かもしれない

時給1,000円のアルバイトで8時間働いて1日8,000円

それを月20日続けてやっと16万円だ

いまの仕事が嫌でないなら、そして65歳以降も月20万円以上で雇ってくれるのならば、絶対再々雇用に応じるべきだ

前回も紹介したが、繰り下げに当たってはひと月単位で増額されていく

65歳 1.00倍 25.0万円/月 300万円/年

66歳 1.08倍 27.1万円/月 325万円/年

67歳 1.17倍 29.2万円/月 350万円/年

68歳 1.25倍 31.3万円/月 376万円/年

69歳 1.34倍 33.4万円/月 401万円/年

70歳 1.42倍 35.5万円/月 426万円/年

ひと月遅らせるごとに0.7%が上乗せされてこれが一生続くのだから、今の金利から考えると破格の増額率であることは間違いない

繰り下げ時期は自分の都合に合わせて自由に選ぶことができるから、もし65歳以降も現職を続けられるのであれば、少しでも繰り下げることをお勧めする

まして年金と収入を合わせると月額47万円を超えるようであればなお更だ

65歳支給を2年半遅らせるだけで月額支給25万円が30万円になる(20%アップ)

遅れた分の支給額を取り戻すには12年半(80歳まで)かかるが、恐らくほとんどの人はそれを取り戻せるだろうし、たった2年半の我慢で20年以上の安心を得られると思えば納得がいくのではないだろうか

今日の深掘りはここまで