禁固と懲役の違い
テレビで裁判報道をやっていた
「被告に禁固〇年の実刑判決がでました」
というアナウンスを何となく聞き流していると、「禁固って何?」と妻
「懲役とどう違うの?」
「どうって言われてもな~」
「ちょっと調べてよ~」
ってことで、禁固と懲役の違いを調べてみた
禁固刑とは、「労務作業のない身柄拘束刑」
懲役刑とは、「労務作業がある身柄拘束刑」
「だってよ~」
「そうなんだ・・」
以下は懲役・禁錮→拘禁刑に 懲罰から更生へ115年ぶり改正 - 産経ニュース (sankei.com)より抜粋引用
懲役刑になると刑務所に連れて行かれて、木工や炊事、掃除や工場労働、衣類や靴等の製作などの労務を強制的にさせられる
禁固刑になると刑務所に連れて行かれるが、作業をさせられることはない
強制労働がない分、懲役刑より刑罰は「軽い」というわけだ
法律上の規定でも「禁固刑」があるのは、軽い罪だけになっている
例えば「過失運転致死傷罪」には懲役刑と禁固刑があるが、「危険運転致死傷罪」には禁固刑がない
「殺人罪」や「傷害罪」「強盗罪」などの重大犯罪には、懲役刑しかないといった具合だ
ただ禁固刑があったとしても、禁固刑になるかはどうかは裁判官の判断次第になる
禁固刑になると強制労働させられることはないが、一日中何もせずにいると苦痛を感じるようになるそうだ
なので多くの禁固刑の受刑者が、自ら望んで労務を行っているらしい(これを請願作業と言う)
それじゃ懲役刑と変わらないじゃないか・・と思うだろうが、懲役刑は働きたくないときも働かねばならないが、禁固刑は働きたくないときには働く必要がない
自分が望んだときだけ働けるってのは、確かに楽(軽い)かもしれない
ところで禁固刑になる割合はどれぐらいなのだろうか?
令和2年の受刑者1万6,620人で見ると禁固刑はわずか53人(0.3%)だそうで、ほとんどが懲役刑になっている
また禁固刑とされた受刑者の8割が労役(請願作業)に従事しているそうで、禁固刑はほぼ有名無実化しているそうだ
逆に懲役刑であっても高齢のために労役するのが無理な受刑者が増えたり・・
再犯防止の矯正プログラムが求められる薬物犯罪者に、他の犯罪者と同じ労役を科すだけで良いのかなどの不都合も指摘されていたそうだ
そのような背景から今年になって刑法改正が行われ、「禁固刑」と「懲役刑」を新設する「拘禁刑」に統一することになった
今回の改正のポイントは以下のとおり
拘禁刑の目的を単なる懲罰ではなく「改善更生を図るため」と明記
労役に加え更生のための教育も義務付ける
刑務所側が受刑者ごとに労役と教育の組み合わせを自由に設定できる
具体的には、
高齢受刑者に出所後を見据えたリハビリを重点的に施す
薬物依存や性犯罪の受刑者に矯正プログラムをより多く受講させる
基礎的な学力が足りない若年者には教科指導の時間を増やす
などができるようになる
今回の改正は明治40年(1907年)の刑法制定以来初めてだそうで、実際に施行されるのは2025年の見込みになっている
2025年以降は「禁固刑」と「懲役刑」はなくなるので、この記事もお役御免になってしまうというわけだ
今日の深掘りはここまで