タバコ税はどこまで上がるのか?
ガソリン価格の半分以上が税金だってことは前回調べてわかったが、今年10月に値上げされたタバコにはどれぐらい税金が掛かっているのだろうか?
結論から先に言うと、何と61.7%もの税金が掛かっている
日本で物品税が掛かっている商品としては最高税率で、ガソリン、ビール、ウイスキーなどを大きく引き離してダントツの1位だ
たばこ税の仕組み | JTウェブサイト (jti.co.jp)より
一般的な紙巻タバコ1箱(20本入り)580円で言うと、本体価格222.39円に対して国税152.44円+地方税152.44円+消費税52.73円の合計357.61円の税金が掛かっている
たばこ税等に関する資料 : 財務省 (mof.go.jp)より
ざっくり言うと、タバコ1箱のうち8本が本来のタバコの値段分で、残りの12本は税金分を吸っている計算だ
愛煙家の私としては「お~い、ホントかよ~!」と空に向かって叫びたくなる
今回の値上げは平成30年度(2018年度)の税制改正で引き上げが決まったのだが、財務省によると・・
「高齢化の進展による社会保障関係費の増加等もあり、引き続き国・地方で厳しい財政事情にあることを踏まえ、財政物資としてのたばこの基本的性格に鑑み、たばこ税等の税率を1本当たり3円(1箱当たり60円)引き上げることとなった」
「ただし税率の引上げに当たっては、消費者や葉たばこ農家・たばこ小売店等への影響に配慮し、平成30年10月1日から1本当たり1円(1箱当たり20円)ずつ3回に分けて段階的に実施することになった」とのこと
この段階的って言うのが、平成30年10月、令和2年10月、そして今回の令和3年10月の値上げという訳だ
ちなみに、いままでもタバコは度々値上げされてきた
たばこ税の仕組み | JTウェブサイト (jti.co.jp)より
専売公社からJTになった翌年の昭和61年(1986年)、今までのたばこ税に加えてたばこ特別税0.9円/本=18円/箱が加税された
続いて平成10年(1998年)と15年(2003年)に16.4円/箱、平成18年(2006年)に17.04円/箱、平成22年(2010年)には70円/箱のたばこ税の増税が行われた
そして平成30年、令和2年、令和3年と3回に分けて行われた増税が60円/箱
昭和61年からこれまでを合算すると、JTになった後の35年間で197.84円/箱が増税されてきたわけだ
これ以外にも消費税が段階的にプラスされているから、増税額はもっと大きくなる
JTになる直前の一般的なタバコの価格が200円だったことを思うと、3倍近い値上がりになっているのだから改めて唖然としてしまう
「こんなに値段が上がるんじゃ、もう吸ってらんねぇや」ってんで、泣く泣く禁煙をした愛煙家も多いはず
「2018年全国たばこ喫煙者率調査」によると、昭和60年の成人男性の平均喫煙率は64.6%だったが、そこから年々喫煙率は下がり続け、平成30年には成人男性の平均喫煙率は27.8%になっている
昭和60年当時は男性3人中2人がタバコを吸っていたのが、今は4人中1人しか吸っていないというイメージだ
受動喫煙問題やCOPD問題などが取り沙汰されたこともベースにあるのだろうが、タバコの値段が上がったことが禁煙・断煙のきっかけになったことは間違いない!
ちなみに、タバコに掛かっている税金は国たばこ税が約1兆円、地方たばこ税が約1兆円の合計2兆円で、国や地方にとっては重要な財源となっている
ここでお気づきの方も多いだろうが、喫煙率は年々低下しているにもかかわらず、たばこ税の額はほとんど横ばいで2兆円をキープしている
そうなのだ!
喫煙率が低下するに従って、たばこ税が増税されているのだ
言い換えれば、2兆円という財源を確保するために無理やり増税していると言っても過言ではない
「それじゃ、これからもドンドンたばこ税は上がるじゃないか!」
そう、その通り!
そして増税に反対する人はほとんどいない
いや、それどころか「甘い!もっと上げろ!」なんて言う人もいるぐらいだ
ホントは増税に反対したい愛煙家も、いつも周りに気兼ねしながらひっそりと吸っている弱い立場だから、大声を上げたくても上げられない
国も地方自治体も、表立って反対する人がいないから思うがままだ
「でも、もし愛煙家が一人もいなくなったら、たばこ税も何もあったもんじゃないのでは?」
「うんうん、確かに・・」
ところが喫煙による経済損失を計算したところ、何と2兆円以上もの損失があるらしい
喫煙による医療や介護費用の増加、タバコが原因の火災などが無くなれば、2兆円の経済損失も無くなるから、行って来いで大丈夫という訳だ
「吸っても吸わなくても、全然影響ないってか?」
どうあがいても、愛煙家に未来はないらしい
今日の深掘りはここまで