ガソリン価格と税金(1)
ガソリン価格が異常に高い!
なんでこんなに高くなるんだ!
レギュラーガソリン1リットルが170円近くなるなんて、やっと遠出ができると思ったのに興覚めするような出来事だ
コロナ感染症で、停滞していた世界経済が漸く回復の兆しを見せ始め、原油の需要が急速に高まっている
・・にもかかわらず、中東やロシアなどの産油国が、増産していないことが主な原因だが、加えて円安がこれに拍車をかけている
コロナ禍の最中は、1リットルが120~130円だったから、一気に40~50円は値上がりしたことになる
11週目になって漸く値下がりし始めたが、元の値段に戻るまでには、もう少し時間がかかるかもしれない
それにしても「日本のガソリンって高くない?」ってことで調べてみた
ガソリンの価格は、「ガソリン本体」+「ガソリン税」+「石油税」+「消費税」で構成されている
具体的に言うと、ガソリンの店頭価格が1リットル130円だとすると、ガソリン本体価格は61.52円で、これにガソリン税53.8円+石油税2.8円+消費税11.82円がプラスされている
「えっ!?本体が61.52円で、税金が68.42円?」
「何ということだ!、半分以上(52.6%)が税金だなんて・・」
調べてみて、思わず愕然とした・・
それも消費税は、ガソリン本体価格だけでなく、ガソリン税と石油税にも掛かっていると言うのだから、もう言葉も出ない
この二重課税については、石油業界も廃止を求めているらしいが、話がややこしくなるので今回は一旦置いておこう
そもそもガソリン税とは道路整備が急務とされた時代(1953年)に創設され、国や地方の道路整備だけに使われる特定財源であった
当初の税率は、ガソリン1リットルにつき28.7円だったのだが、道路整備の財源不足を理由に、1974年に暫定税率25.1円が上乗せされた
この暫定税率は、暫定でありながらその後35年も延長され、2010年には期限をつけない「特例税率」と名前を変えて現在も維持されている
また道路整備だけに使うはずだったガソリン税の使途も、2010年度からは何にでも使える一般財源に変更になっている
暫定だったものが暫定じゃなくなり、特定だったものが特定じゃなくなっているなんて、如何にも日本らしいズルズルの税金だ
それも何だかんだと税金を後付けした結果、本体価格よりも高くなっているなんて・・もう松田優作風に「なんじゃこりゃ!」と言いたい気分だ
ガソリン(石油)はハッキリ言って生活必需品だ
通勤も営業も輸送もみんなクルマを使っている
飛行機や船はもちろんのこと、電車だって元をたどれば石油で動いているのだ
このように原油の4割は、あらゆる産業の「動力源」として使われていて、すべての食品や製品には燃料コストが掛かっている
そして「動力減」と同じく、原油の4割は、灯油やガスなどの「熱源」として使われている
石油ストーブはもちろんのこと、料理をするためのガスも、原油からできている
「うちはオール電化だから・・」と言う人がいるかもしれないが、火力発電にも石油が使われているから、元をたどればやっぱり原油のお世話になっている
そして残りの2割は、石油製品の原料だ
プラスチック製品、ペットボトル、化学繊維を使った衣料品など、どれも我われがいつも使っている生活必需品ばかりだ
こんな生活に欠かせないモノなのに、消費税以外の物品税を掛けていること自体が問題じゃないのか!
ってことで、海外のガソリン価格と税を調べてみた
どうせ日本だけが高いんだろうと思っていたら、何とこれが、大間違いだった
OECD35か国で比較すると、日本は高い方から数えて、小売価格は23位、負担税額は27位、負担税率は29位なんだとか・・
ガソリン車ゼロの衝撃:揮発油税が消える「ガソリン車ゼロ」の衝撃 コロナ禍とEVシフトで大増税時代が来る! | 週刊エコノミスト Online (mainichi.jp)より
「えっ!?どちらかと言えば安い方にいるじゃないか!」
またもや「なんじゃこりゃ!」となってしまった
一番ガソリンの小売価格が高いのが、オランダだ
1リットル180円ほどだが、そのうち税金が69.5%を占めている
オランダだけじゃなく、価格の上位にはヨーロッパ諸国が顔を連ねている
ガソリン本体価格は、各国の石油事情(産油国なのか輸入国なのかなど)で違ってくるが、総じてガソリン小売価格が高いのは、税金が高い国が多いようだ
上位のイタリア、フランス、イギリスは、税金が7割超え、ドイツもほぼ7割と、日本より15ポイント以上も高い税金が課せられている
逆に最も安いのはアメリカだ
税金は24.4%しかない上に、自国で原油が採れることもあるのだろう
税金だけで見ると、5割を切っているのはメキシコ、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、チリ、の6か国だけだった
日本の税率は52.9%だが、比率だけで見ると、チリの次に低いことになる
各国の個別間接税の種類や、使い方まではわからないが、日本のガソリン税は海外と比較しても、決して高い方じゃないことはわかった
「ほらね、ヨーロッパの国々と比較すればまだまだマシな方なんですよ~」という、役人の声が聞こえてきそうだ
しかし、この先脱炭素社会が実現したら、ガソリン税から得ていた財源はどうするつもりなんだろう
日本の燃料税による財源収入は、現在約4兆3000億円もあり、税収入全体の4%を占めているそうだ
将来、脱炭素社会が実現したとしたら、これが無くなるわけだから、国の予算にも大きな影響があるはずだ
そうなると、新たな税収対策が必要になるのだろうが、国民からすればもっとわかりやすい、筋の通った税金制度を目指してもらいたいものだ
減税するものと、増税するものをしっかり区分けし、何に使うのかを明確にしてくれれば、そうそう文句を言う人はいないだろう
実生活にあった税金制度と、国民の理解を得るための十分な説明を求めたい
今日の深掘りはここまで