すこしだけ深堀りしてみるブログ

日々の生活で気になったことを自分が納得できる程度に調べてみるブログです

知れる

「〇〇が知れて良かったです!」

インタビューのイラスト

テレビのインタビューなどでよく聞くフレーズなんですが、何か違和感があるのは私だけでしょうか?

「こう言う場合は【知ることができて】だろう!」って言いたくなります

でも、普通間違った言葉遣いはテロップで正しく修正されるのに、テロップでも「知れて」と書いてある

「今はこんな使い方もアリなのか?」

「これが正しい言い方なの?」

実は以前からモヤモヤしていたのですが、今回どうしても納得がいかず調べてみることにしました

 

まず日本語には可能動詞というのがあるそうで、

例えば【読む】【言う】【書く】などの動作が可能になる場合などは、【読める】【言える】【書ける】などと言います

読むことができる=【読める】、言うことができる=【言える】、書くことができる=【書ける】ってことですね

「う~ん、これは違和感ないですね」

これ以外にも【取る】や【切る】なんかも、可能動詞として【取れる】や【切れる】などと言う使い方をします

これらの動詞は、自分の意志で行う動作であり、その動作が可能になる場合には「~る」や「~れる」を使うわけですね

 

一方、自発(自然とそうなる)的な動作に対しても可能動詞が使われる場合があるそうで、例えば【笑う】→【笑える】、【泣く】→【泣ける】がこれに当たります

高飛車に笑う姫のイラスト

しかし【笑える】や【泣ける】は、~できるというよりも、自然と笑ってしまう、思わず泣いてしまうという自発的な意味で使われるのが一般的です

「あの動画を見るといつも笑える」とか、「このドラマは泣ける場面が多い」というような使い方です

ただ、「やっと笑えるようになった」のように、「~ができる」の意味で使われることもありますね

 

では【知る】という動詞はどうかと言うと・・

【知る】とは「物事の存在を認識する、気づく、感じ取ることや、物事の状態や内容を理解する、把握する、記憶すること」などを言いますが、これは自らの意志で行う動作とは言えません

しかし自らの意志で行わないはずの【知る】を【知れる】という可能動詞の形で使われることがあります

例えば「名の知れた会社」や「気心の知れた仲」とか「たかが知れている」や「お里が知れる」などです

この場合の【知れる】はいずれも「自然に分かる」「見当がつく」「判明する」という自発(自然とそうなる)の意味の使い方で、先ほどの【笑える】や【泣ける】と同じ使い方になりますね

「これなら私も、まったく違和感はありません!」

頷いている人のイラスト(男性)

では冒頭の「〇〇が知れて良かったです!」という「~ができる」と言う意味での使い方は正しいのか?

結論から言うと、まったく間違いではないらしい・・

この言い方は最近若い人の間で使われるようになっており、一部の国語辞典には【知れる】=知ることができる、という解説が記載されているんだとか・・

また、使用実態についてNHK放送文化研究所が2012年にWebでアンケート調査を行っているんですね

www.nhk.or.jp

この調査では、「事実を〇〇〇良かった」の〇〇〇にどんな言葉が入りますか?っていう質問に対して、【知れて】を選んだ人、【知ることができて】を選んだひと、両方とも使うと答えた人の割合を年代ごとに集計しています

「事実を『○○』よかった」は…
(NHK放送文化研究所ウェブアンケート、2012年4月~5月実施、385人回答)

これを見ると10代では【知れて】を使うが13%、両方使うが41%で、合わせると54%が【知れて】を使うという結果でした

20代では【知れて】は6%でしたが、両方使うが63%あり、【知れて】を使うことに違和感がない人が7割はいるということですね

これが30代になると【知れて】と言う人はゼロ、両方使うも54%に減り、【知ることができて】と言う人が46%に増えます

40代になると【知ることができて】が63%、両方とも言うが37%で、【知れて】を使う人の数が半分を切ってきます

50代では3人中1人が【知れる】も使う派、60代以上では4人中1人が【知れる】を使う派で、残りは【知ることができる】派(私と同じ)という結果でした

この結果から見ると、明らかに10代~20代がよく使う言葉ではありますが、40代以上でも使う人が結構いるんですね

驚きました!

まあ、それだけ一般化しているってことですかね

 

ちなみに可能動詞で、ほかにも問題になるのが「ら抜き言葉」です

【見られる】を【見れる】、【来られる】を【来れる】という言い方がそれですが、いまのところ【ら】を入れた言い方が正しいとされており、インタビューでこの言葉を使うとテロップでは修正したものが表記されます

この言葉はやはり若者が使うケースが多く、【食べられる】を【食べれる】と言ったり、【考えられる】を【考えれる】と言うのも同じ「ら抜き言葉」です

でも、いまの若者たちが中年・老年層になった時にはこれが標準語となり、テロップで修正されることも無くなるんでしょうね

そんなことより、わたしは若者が使う略語がまったく分からないので、それが分かるようなテロップを出してほしい今日この頃です(^^;

今日の深掘りはここまで